酵母は単細胞性の
菌類の総称であり、分類上の群ではない。いわゆる
出芽酵母など、多くのものが子嚢菌類に属するが、担子菌系の酵母も発見されている。これらの判断はその酵母の有性生殖の姿(テレオモルフ)を観察しなければわからない。しかし、それが発見されないものもある。そのような場合、菌類の分類においてはそれをアナモルフ菌(
不完全菌)と位置づけ、それに学名を与えることが認められている。そこで、酵母の場合もそれにならい、不完全酵母という。かつてはこれに分類単位としての位置を与え、不完全菌門不完全酵母綱と呼んだが、現在はこのような扱いは行わない。不完全菌の位置はあくまで仮のものであり、正しい分類上の位置がどこかにあるはずだからである。
その中で、カンジダはもっとも普通な不完全酵母を含むものである。
出芽によって増殖する酵母であり、条件によっては菌糸に近い姿をとるものもある。多くの種があるが、特に有名なのは
カンジダ・アルビカンス(
Candida albicans)である。これは、時にヒトの
カンジダ症を引き起こす病原体として知られている。元来はヒトの体表や消化管、それに女性の膣粘膜に普通に生息するもので、多くの場合は特に何の影響も与えないのだが、体調が悪いときなどに病変を起こす
日和見感染の原因となるものである。