人類の最も古い絵画は、洞窟の凹凸を利用して描いた壁画(
洞窟壁画)であり、人類が建物を作るようになって以後もその壁面に絵画が描かれるなど、絵画は居住空間や神聖な空間の壁と切り離せない存在だった。絵画は次第に洞窟や建物の壁面から離れ、独立した板や布(
タブロー)に描かれるようになった。しかし、多くの人が同時に見ることができ、しかも空間全体を変容させて見る人を包み込む効果のある壁画・天井画は、今でも数多く制作されている。
世界中の遺跡から壁画は出土している。石器時代の洞窟の天井や側面に描かれた洞窟壁画は、現存する人類最古の絵画である。これら洞窟壁画はさまざまな色の土を顔料に使い、洞窟内の凹凸を利用して描かれ、おそらく祭祀などに使われたものと思われる。
古代の壁画は、遺跡や墳墓の発掘調査の進展と共に多く見つかるようになっているが、長年外気や湿気に触れなかった繊細な壁画はカビや光で痛む可能性があるため、どのように保護し、また観覧に供するかは今後の課題である。
ラスコー洞窟は観覧者の吐く息の二酸化炭素や持ち込んだカビ類で洞窟壁画が傷み、閉鎖されているが、これは保存が間一髪で間に合った幸運な例である。