遷移元素 wikipedia|無料辞書
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遷移金属(せんいきんぞく、transition metals)とも呼ばれる。短周期表のころは
第12族元素(亜鉛族元素、
Zn、
Cd、
Hg)も周期表上から遷移元素に分類されていたが、化学的性質が
典型元素の金属に近いことが分かり、現在では典型元素に分類される。
また
化合物や水和イオンが色を呈するものが多い。種々の
配位子と
錯体を形成することができ、
触媒として有用なものも多い。
◆ 歴史
ドミトリ・メンデレーエフが周期表(短周期表)を作成した当時、今日の第3族?第7族元素で発見されているものは少なく、また発見されていたものが多い第8?第10族元素に属する元素であっても1つの族(VIII族)にまとめられていた。というのも、短周期表を区分する
物性や化学的性質は、
s電子や
p電子など、主に最外殻電子の性質に由来するものであり、
d電子や
f電子などの内殻電子の構成に由来する元素の変化は目だって現れなかったためである。メンデレーエフは原子量順に並べると、化学的性質の異なるVII族とI族の間に、性質の似通った3つの元素の組から構成されるVIII族元素が配置できることを見出し、VII族とI族を繋ぐ元素グループという意味で「遷移元素」という名称を与えた。
その後第3族?第7族元素の発見により周期表も改良され、今日の第1・2および12?18族元素から構成される
典型元素(短周期族名の後にAをつけて区別する)と第3族?11族元素から構成される遷移元素(短周期族名の後にBをつけて区別する)が短周期表の中で分類されるようになった。
その後、
量子化学により元素のもつ電子殻の構造が理解され、s、p、d、fなど電子ブロック分類に基づく長周期表や拡張周期表で元素が分類されるようになり、第3?第11族元素を指して「遷移元素」と呼ぶようになった。
◆ 特徴
遷移元素は典型元素とは異なり
d軌道あるいは
f軌道が閉殻になっていない。そして原子番号の増加によって変化するのは主に、d軌道ないしはf軌道電子である
[原子番号増加でs軌道、d軌道ないしはf軌道電子が変化する箇所も存在する]。
s軌道ないしはp軌道電子においては、主量子数の小さい軌道は大きい軌道を超えて外側に殆ど分布しないのに対して、d軌道ないしはf軌道電子はより主量子数が大きいs軌道、p軌道の内側も外側に分布する。この性質は遷移元素の特徴に大きく影響を与えている。
d軌道ないしはf軌道電子がs軌道の外側に分布するということは、s軌道電子の核電荷遮蔽の効果が弱いことを意味している。その為にd軌道ないしはf軌道が閉核でない元素ではs軌道準位が主量子数が小さいd軌道あるいはf軌道よりも低くなる。この効果により、遷移元素では原子番号の増加に対して、s軌道よりもエネルギー準位の高いd軌道やf軌道が変化することになる[d軌道やf軌道が閉殻の場合は核遮蔽が強く、準位が高くなったs軌道電子が変化する]。
d軌道ないしはf軌道の外部にも広く分布する電子が多数存在するという性質は、
金属結合に関与しうる電子が多いということも意味する。その多数の電子が結合力を増大させる為に遷移金属では典型元素金属に比べて融点が高いものが多く、とりうる酸化数も多数存在することになる。
遷移元素においては第4・第5周期はd軌道に電子が存在するが、第6・第7周期にはd軌道とf軌道に電子が存在することになる。このことは、
ランタノイド系列や
アクチノイド系列が存在するという理由以上には電子配置や核遮蔽による準位への影響度合いが第4・第5周期の場合と第6・第7周期の場合とでは異なることを意味する。したがって、典型元素では同じ族の元素の性質が似通っていたのに対して、遷移元素においては第4・第5周期と第6・第7周期とでは性質が異なる場合もしばしば見られる。
むしろ同じ周期であればs軌道電子の構造が等しい隣接する族と性質が似かよう面も多く、三組元素の
鉄族元素や
白金族元素のように同じ属だけではなく、同じ周期でも区分される場合もある。
◆ 遷移金属
遷移元素は全て
金属元素であるが、
d軌道またはf軌道など
内殻に空位の軌道を持つため、典型元素の金属とは異なる化学的性質を持つ。そのため、これら金属元素は「遷移金属」とも呼ばれる。
例えば、内殻の
d軌道に安定な不対電子を持つことが可能なため、遷移金属の多くは常磁性であったり、複数の酸化数をとることが容易である。あるいはd軌道はさまざまな配位子と結合して、同じ元素でも多様な錯体を形成する。
◆ 遷移元素の電子配位一覧